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【レポート】 中澤工講演会(東京大学新月お茶の会)

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 「リア充度計測器『プロキオン』――ここに表示されている数値は、現在毎時『1108mSv』」
 「これはオタク界におけるリア充度の、約2000万倍にあたります」

 「東大の五月祭……マジやべぇな……」

本日(5月19日)は、東京大学新月お茶の会さん主催による「中澤工講演会」に出席すべく、東京大学第85回五月祭にお邪魔してきました。何気に東大潜入は初だったりします(多分)(何かを忘れていなければ)。

中澤工氏といえば、先月に書いた来月発売の最新作『ルートダブル - Before Crime * After Days -』体験版の感想記事でも言及した通り、かの有名な『Ever17 -the out of infinity-』を筆頭とした『infinity』シリーズや『Memories Off 2nd』『I/O』といった話題作のシナリオ執筆の他、近年では『シークレットゲーム -KILLER QUEEN-』『ひまわり -Pebble in the Sky-』(当ブログ的に超重要)などの18禁同人ゲームの移植も監督しておられる素晴らしい御方です。『Ever17』で感銘(カルチャーショック)を受け、来月の『ルートダブル』にも大きな期待を寄せており、何よりも自他共に認めるひまわり信者である自分、この中澤さんの講演会に赴かずにはいられません。さもありなん。

以下、講演会のまとめ。自分用メモなので間違っていたら申し訳ない。


①第一部 講演
・ディレクターはゲームの中身についての管理などミクロを担当する役職。
 プロデューサーはゲームの売り方や紹介などマクロを担当する役職。

・最も思い入れのあるゲームは『ルートダブル』。記憶に根強い。

・手がけた作品に閉鎖空間が多い理由は、ゲームの目的が脱出と伝わりやすいから。
 脱出にタイムリミットを設定するなど、閉鎖空間は非常にゲーム的な題材である。

・記号を登場人物に当てはめるのはTRPG『トーキョーN◎VA』などの影響。

・主人公を記憶喪失にすると、プレイヤー視点(=情報ゼロ)と同様になるので、やり易い。
 状況説明を自然に行えること以外にも、主人公とプレイヤーとの乖離を抑えられるのがよい。
 『ルートダブル』の渡瀬のようなレスキューの専門家だとなおさらである(渡瀬さんっ…)。

・『ルートダブル』体験版でAルート丸々一本が収録されているのは製品版に興味を持たせるため。
 「1つのEDを見せてしまえば後戻りできないだろう」とのこと(場内爆笑)。
 『Ever17』は自信があったのに知る人ぞ知るタイトルになってしまったので、その教訓から。
 また、ギミックに重みを置いているので、序盤だけではなく最後までやってもらう必要があるため。

・Aルートで情報を出しすぎたのではと言われるが、真相に到達するのに必要な情報は出していない。
 しかし、自分が予測したよりも良い線を突いている感想が多くて驚き、少し後悔したとか(場内笑)。

・ギミックを思いつくために、普段から面白そうなものを見てインプットする。
 また、自分でも落とし所がわからないように作るのもコツ。

・OPでは、『ルートダブル』は『Remeber11』を超えた過去最悪の状態。

・『ルートダブル』とは絶対に同じ目には遭いたくないですよね(はい)。

・なりたい主人公は、『ルートダブル』や『infinity』シリーズ以外なら(場内爆笑)。

・恋愛ゲーを作るにあたって、別段何かの実体験に基づいているわけではない。
 『Myself;Yourself』に小学生ヒロインがいたのは、イエティさんから提案されたから!(真偽不明)

・家庭用ゲームとしての自主規制は、ギリギリのラインを攻めることでより深みがある表現を可能に。
 また、何か制約があったほうが面白いという思いもある、らしい。

・エロゲはジャンルとしてはアリ。作りたくない、などの気持ちはまったくない。自分もよく遊ぶ。
 しかし、この中(家庭用ゲームとしての制限)でしか出来ない、ということも大事に思う。

・複数主人公の原点は『街~運命の交差点~』。なるほど、こういうのもあるのか。

・休日の過ごし方は普通。インプットのアンテナを広げたりする。

・ゲーム作りは過酷で辛いことも多いが、充実感もある。初心を忘れないようにするのが大事。

・『ルートダブル』では下調べと取材を重点的に行なった。ハイパーレスキューの取材も。
 ちなみに、『Myself;Yourself』では和歌山にひとりで三日くらい滞在した。

・学生時代はTRPGのサークルを立ち上げてイベントを主催したり、仲間内で徹夜TRPGをしたりした。

・『infinity』シリーズは既にプロジェクトが始まるのが決まった上で呼ばれた。
 実際にシリーズとして作るようになったのは『Ever17』以降。
 直接的なシリーズのネタは使わないようにしている(過去作を知らなくても大丈夫にするため)。
 ちなみに、『Ever17』は元々、打越さんが構想していたミステリー作品が原典。
 『Remember11』は元々、中澤さんが構想していた『パラサイト』という企画。

・『Remember11』を最初からあのEDにすると企画書を出しても絶対に通りません(場内笑)。
 制作終盤になってから、あの形が決まった。

・どんな企画内容でも、若干考察の余地を残したほうが、印象深くなって愛着が湧くかと考えている。

・『I/O』は情報量が多くて非常に複雑。情報化社会を描いたから情報が氾濫したんだ!(苦笑)
 『Remember11』では分単位のチャートを作っており、確認作業で打越さんが苦労した。

・『Myself;Yourself』については、人間とは分かり合えないことをゲームにしたら面白いと思った。
 あまり伝わらなかったので、再チャレンジとして、『ルートダブル』にもその要素が継承されている。
 ある意味では『ルートダブル』のプロトタイプと言える作品である(場内「おおーっ」)。

・『シークレットゲーム』『ひまわり』は原作ファンの方々から、違うな、と思われないように作った。

・『Myself;Yourself それぞれのfinale』は純粋に描き切れなかったものを形にしたかったから。

・ゲームとシステムについては色々と考えている。
 例えば、『シークレットゲーム』のBETシステムなど、題材らしい関与の仕方を考えた。
 各作品のTIPSなどは、本編で説明過多にならないよう、テンポを良くするために導入。
 また、『ひまわり』ではTIPSを最後まで見ると隠し要素(サイドストーリー)が。
 #「死ぬ 助けて 西には敵が 奴の名は」ですね。わかります。
 #参考記事:「ひまわり」の縦読みで人類終了のお知らせ

・『ルートダブル』のセンシズシンパシー秘話。
 最初からあったわけではなく、そろそろ選択肢を外したい→先行入力する形はどうか、という流れ。
 システムを物語に有機的に組み込みたいという思いから今の形になった。

・今後は、発表されてユーザーが驚く作品も考えている。期待していて欲しい。
 また、『ルートダブル』も色々な形で展開していきたい(アニメ?漫画?)。
 あと、個人的に小説も書いてみたい。ビジネスになるかは別として。


②休憩
『ルートダブル』Bルートが試遊できました。
自分は眺めているだけでしたが、なんというか、Aルートとは打って変わって学園モノですね!


③第ニ部 質疑応答
・実際の人物をモデルにしたことは?
 特にない。インプットした内容がキャラに間接的に影響することはあるかも。

・プレイヤーの視点について。
 ゲームならではの物語を作る上で、プレイヤーの立ち位置は重要。

・作品タイトルについて。
 多くの意味合いをつけるようにしている。
 結末までプレイするとタイトルの秘密が明らかになるなど好みなので(場内感嘆)。
 『I/O』以降は意識して記号を使用している。
 『I/O』では/(スラッシュ)。ゼロ除算すると無限ループになる、などの意味。
 『Myself;Yourself』では;(セミコロン)。文章の緩い区切り。
 『ルートダブル』では√(ルート)。シナリオ、平方根、根源など。
 そもそも、この事件は何故に発生したのか、という意味。
 *(アスタリスク)は、ワイルドカード、乗算など色々な意味。
 ユーザーから原子力や放射線のマークに似ていると指摘されて、それいただき!(場内爆笑)

・中澤さんが影響を受けた作品は?
 ミステリー作家である麻耶雄嵩さんの『夏と冬の奏鳴曲』は衝撃的だった。
 『Ever17』後に読んだが、まるで『Ever17』の元ネタのようだった。
 他には、『そして誰もいなくなった(映画)』も、小学生の頃にショックを受けトラウマに。
 また、『Remember11』にはクリストファー・ノーランの作品が影響している。
 『ルートダブル』には貴志祐介さんの『新世界より』が影響している。SF好きにオススメ。
 
・今まで没になったアイデアは?
 あらかじめ断っておくと、没になったアイデアは、温め直して再利用することも多い。
 『ルートダブル』では、最初はインテリジェントビル(高層ビル)からの脱出を構想していた。
 その時は、高さ、高いところを描きたかったが、過去の作品で多かったので独自性がなかった。
 いつか軌道エレベーターとかも使ってみたいなあと思っている。

・実はこういうメッセージを込めたのに伝わらなかった作品などは?
 『Memories Off 2nd』では、陰陽道の五行説などを各所で含めていたが気付いてくれなかった。
 『ルートダブル』のエニアグラムに通じるものだった。白河ほたるは金、南つばめは火など。
 中澤さんや司会進行さんの、最早まったく違う作品ですね、との会話に会場笑。

(ここまではネット応募からの質疑に対する応答、ここからは会場からの質疑に対する応答)

・『Myself;Yourself』のアニメにどう関わったか?
 アニメスタッフの方に好き勝手にやってもらったので、楽しみながら観ていた。
 ただ、企画会議や脚本読みの場には参加させてもらった。クレジット掲載は辞退した。

『ひまわり』の移植にあたって、各種描写の修正において苦労した点は何か?(自分の質問)
 飲酒描写の修正に大変苦労した。
 カットすると物語が破綻するため、いかにそのまま残すかが焦点だった。
 法律の方を変更する、宇宙でのシーンでは国を変更する、など、ごぉさんと会議。→駄目でした。
 最終的には酩酊状態を味わえるそれっぽいオリジナルな飲み物で決着。

 その中澤さんとごぉさんが考えに考え抜いた結果が、これだ――(ワン・ツー・スリー)。

共通文章
修正文章
追加文章

【原作PC版】
 「確かこのあたりに…」
 部長の好む焼酎や地酒の類をいくつか選び出す。
 …まぁこんなもんだろう。

【PSP/PS2版】
 「確かこのあたりに…」
 さすがに酒を持ち出すのは気が引けるけど、その代わりになるものならある。
 最近ちまたで話題の清涼飲料水。
 仕事に疲れた現代人の心と体を癒す、救世主。
 その名も――『純一』。
 …誰だよ。
 (名付けた人間の顔を見てみたいな…)
 生理学の粋を集めて作られており、飲むだけでリラックス効果があるらしいが……。
 (…なんかうさんくさいよなぁ)

 『純一』とラベルの付いた一升瓶を5~6本、棚の奥から引っ張り出す。
 …まぁこんなもんだろう。

 『ひまわり』全編を通して上記のような追記修正が行われております。
 これら全ての変更点を一週間以上かけて抽出しましたが、膨大な文章量となっておりました。
 いやはや、18禁ゲームの移植は大変ですね。本当にお疲れ様でした。地道に抽出した自分も。

・他の質疑応答では…。
 『ルートダブル』スタッフさんで自分の特性をネットサービスでチェックしたら芸術家が多かった。
 元々、お話ならではのゲームを作るために業界に入ったわけではなかった。ゲームならではを心がける。
 一番好きなキャラは誰もが好きだが、印象深いのは『Memories Off 2nd』の南つばめ。
 RPGのシナリオを依頼されたら、興味はあるが悩む。
 『ルートダブル』でセンシズシンパシーのような手法も有効だと知ったので、今度はそれを逆手に取る。
 など。

・まとめの言葉。
 『ルートダブル』は製作スタッフ全員の精魂を込めた。
 全力で作りたくとも作れないことが往々にしてあるが、今回は状況に恵まれ突き詰めて作ることができた。
 大震災の影響も被ったが、ユーザーの方々のおかげで発売までこれることができた。
 内容的にも全力投球できたので、是非とも楽しんでプレイして欲しい。


④握手&撮影会
中澤さんのご好意で、閉会後に握手&撮影会を催して頂きました。
自分の席の目の前が先頭だったので、いの一番で中澤さんと握手と撮影をして頂いた!いやっほう!


―――という流れを経て、講演会は終了。いやはや、中澤さんから興味深いお話を数多く伺うことができ、非常に充実した三時間余りを過ごせました。中澤さん及びスタッフの方々、ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。また講演などの機会がございましたら参加させて頂きます。『ルートダブル』も期待しております。アクアは俺の嫁。
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Author:みとす@ミトシィ
生後二年から様々なゲームを節操無くプレイし続け、どこに出しても恥ずかしいゲーマーとなった社会人。救いようのないエロゲマイスターだと近所の奥様方の間では評判。

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