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【感想】 Vermilion -Bind of Blood-


              「おまえこそ、不死身の超越者(ヴァンパイア)」
        「……闇の底で、産声を上げた……人と魔の黄昏(ノスフェラトゥ)」
       「ひれ伏せ、徒人(ヒューマン)――血袋の分際で、頭が高いぞ……」
                     「……なんて、な。ははっ」
                        「じゃあ、またな」
                 「“生きろ”よ――トシ、ロー…………」



なんだ、ただの傑作か。(※最上級の賛辞)

「ぶっちゃけ興味なかったけど面白かった」「全然期待していなかった割に大満足だった」「全く眼中にありませんでしたが感動しました」「神●の悪質な抱き合わせ販売だと思っていたが白熱した」「与猶啓至さんが手がけた音楽の付属品な印象だったのに最高にハイだぜ」(ここまで、シナリオライターさんのブログより一部引用)(最後に自分の余分な感想が含まれていませんか)と2011年発売エロゲのダークホース的ポジションを欲しいままにするであろう超絶話題沸騰人気作(らしい)、5月27日にlightより発売された最新式解釈の吸血鬼幻想ADV『Vermilion -Bind of Blood-』を遅ればせながらプレイさせて頂きました。

上述の感想例に漏れずノーチェックだったわけですが、なんということでしょう。プレイ前と後の自分の印象は、まるで作中の≪伯爵≫の如く劇的な変化を遂げました。各所で完成度が高いと好評だったので、『神咒神威神楽』までの繋ぎにならばと購入に踏み切った自分は間違っていなかった。加えると、どうせなら予約キャンペーン&店舗特典のドラマCDが付いている新品が良いと、まだ残っている店を何箇所も何箇所も何箇所も探し歩いた自分は正しかった。これも運命石の扉の選択か。なら最初から予約して買っておけと。半端者が。

本作のシナリオライターである昏式龍也(くらしきたつや)さんは埋もれた名作ポジションを虎視眈々と狙っていたそうですが、そんなの、あたしが許さない。 いの一番に布教して掘り起こしてやるさ。ランス・クエストの影響でアクセス数が増加している今が絶好の機会なので、名誉挽回とばかりに布教記事を綴りたい。


【シナリオ】 A+
目を覚ますがいい、魔人に焦がれし童たち。
滅び去るがいい、怪物を気取りし愚者どもよ。
これは吸血鬼なる幻想を斬る、異端の刃の物語――


吸血鬼が吸血鬼らしくハッスルするエロゲと言えば、『吸血殲鬼ヴェトゴニア』『MinDeaD BlooD ~支配者の為の狂死曲~』が真っ先に浮かびます。前者は話題沸騰の虚淵玄氏の作品なので言わずもがな、ぶっちゃけると後者はリョージョークやリンカーンな目的で購入したのですが、これまた吸血鬼譚として世界観が秀逸で驚きももの木20世紀だったわけです。余談ですが、2010年9月に『MinDeaD BlooD Complete Edition』が発売されており、何やら新規CGやエンディングが追加されているとのことなので、隙あらば再プレイする気満々であると意思表明しておきます。べ、別に新規エロシーンに興味があるわけじゃ(省略)。

閑話休題。そこに今回の『Vermilion -Bind of Blood-』が華麗に投入。本作では吸血鬼社会や吸血鬼の在り方が重厚に描かれており、世間の吸血鬼事情(国内外の吸血鬼がテーマの小説・映画など)に疎い情弱な自分は「なるほど、そういうのもあるのか!」と目から鱗が落ち、自ら望んで縛血者になり幼女を魅了して吸血行為のみならず性いやなんでもない。しかし、吸血鬼譚は燃え展開必須とか、そういう暗黙の了解があるのだろうか。永遠の14歳を自称する自分にとってはバッチコイなのでノーガード戦法ですが。

肝心のシナリオについて。ヒロインは全員で四人、そして全ヒロインルート攻略後にグランドルートが解放されるという俺得構成。グランドルートがある作品は往々にして良作である、というのが持論。攻略順はシェリル→アンヌ→ニナ→アリヤ→グランドルートが内容的に分り易いかなと(アリヤ→グランドルートの流れは断固として推奨)。初回プレイ時はシェリルorアンヌルートにしか入れないようにロックされていますが、ここは三本指のエピソード的に一周目シェリル固定で良かった感も否めない。別に人気投票ヒロイン最下位のアンヌさんをディスってるわけではないです。ラーメンおいしいです。

どのルートも得意技:ネガティブシンキングな主人公・トシローが後ろ向きに自分の存在意義を求めて血反吐を吐く話なので、基本的にローテンションなのですが、そんな煩悶葛藤大好きな面倒くさい男トシローが誰か何かに触発されてようやく吹っ切れ、14歳まで若返ったかのように青臭い熱血な言動を開始するようになると途端に燃えゲーと化すため、厨二病でギャップ萌えな方にはタマラン内容です。『装甲悪鬼村正』の主人公・湊斗景明が耐えられるなら、使用能力が磁力操作という共通点もあるので(無関係)大丈夫だ、問題ない。最終的に弾き出す結論は真逆ですが。

ちなみに、全ルートの本質的ヒロインはアイザックさん♂な。


【キャラクター】 A
アイザックさんマジパネェっす。この一言に尽きる。トシローに執心する狂信者っぷりはヒロインですら手も足も出ない「この気持ち、まさしく愛だ!」状態。『Dies irae~Acta est Fabula~』とは比較にならないホモホモしさを超越して、もうお前のトシローでいいよと全プレイヤーが認知した。人気投票の結果がそれを裏付けていると言えよう。メッセサンオーの特典ドラマCDが気になって夜も眠れません。もはや入手不可能なので諦めていますが。

そして、我らが師匠(レイラー)、白木の杭≪ホワイト・パイル≫ことヴィクトル・シュヴァンクマイエル・クラウス。名前長いッス。人類を信奉し吸血鬼を殲滅する白木の杭という一種の概念と化していながらも、人類の醜い部分や一部の吸血鬼の人間臭さも理解した上で、敢えて盲目に役割を果たす師匠の姿に惚れる。師匠と弟子の死別とか大好物な自分にとって(『あやかしびと』の双七と九鬼先生のシーンとか容易に涙腺崩壊さ)、グランドルートのアリヤへの語りは効果抜群だ。この涙腺狩人め。しかしアリヤルートでアンヌを殺したことは許さ……いや、やっぱいいわ(ぇー)。

というわけで、終始ブレずに自分を貫いたアイザックとクラウスが個人的に好印象。しかし、声優さんの熱演という意味では、全員が全員、超越者(ヴァンパイア)でしたが。男性陣が素敵すぎて濡れる。クライマックスのトシローと≪伯爵≫とかノリノリ過ぎだろ。だがそれがいい。自分は基本的に見目麗しい女性キャラより無駄に格好良い男性キャラを好む傾向があるようです。ちなみに女性キャラではバイロンさん一択。考えて見れば、あの人も一切ブレなかった。あの手の傲岸不遜で唯我独尊な強キャラは大好物です。でも結果はごらんの有様だったよ。

え、ヒロイン? アリヤ、ニナ、シェリル、モーガン、ケイトリン、アンヌの順で好きですよ。ええ。


【システム】 A
昔のlightと異なり、最近のlightはゲーム起動も早いし、全体的にサクサク動作する印象。
ムービーやエフェクトを多用しているので、ひょっとしたら低スペックだと厳しいかも。
与猶啓至さんの音楽は相変わらず、流石です。サントラ欲しいなあ。


【総評】 A+
2011年度私的エロゲーランキング、シナリオ部門暫定第1位。

いやあ、面白かった。余は満足じゃ。末期の厨二病を患っている自分は、propellerやNitro+が精神清涼剤なのですが、今回でlight株がグーンと上昇しました。今後も正田崇さんと昏式龍也さんが伝奇バトル物を創っていって下されば、安心してlightのライター買いができるというものです。次回作にも期待しております。これで次回作が学園恋愛物だったらどうしよう。

そんなネットの高評価に違わぬ高クオリティを魅せつけてくれた吸血鬼幻想ADV『Vermilion -Bind of Blood-』。果たして、今年度で本作を上回る燃えゲーは現れるのか。有力な対抗馬と目されるのは9月30日に同ブランドより発売される正田崇さんの新作『神咒神威神楽』でしょうか。今から全裸待機する心持ちです。
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Author:みとす@ミトシィ
生後二年から様々なゲームを節操無くプレイし続け、どこに出しても恥ずかしいゲーマーとなった社会人。救いようのないエロゲマイスターだと近所の奥様方の間では評判。

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